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終末のイゼッタ:16年「男の人は男の人同士で、女の子は女の子同士で恋愛すべきだと思うの」

年末の週末ですので終末をというわけでもないのですが、クールの合間で週次視聴が減りましたので、見逃し視聴です。結論から言いますと、結構良かった。魔法使いの「技」(超能力のPKみたいですが)がリアリティーをもって戦争に利用できるのは第二次大戦まででしょう。時代のギャップを最大限に生かした組み合わせの妙だったと思います。

キャラはジブリっぽいですが、ストーリーは子供に配慮した甘さがなくちゃんと大人向きでした。ミュラーさんが少年兵を機密保持のために撃ち殺すシーンなんてなかなかいい。フィーネも王のなんたるかを理解しているお姫様でしたし、リヒテンシュタイン(オーストリアも含むらしいけど)は日本から見るとおとぎの国で目のつけどころがいい。でも、天邪鬼な私はそれを踏まえて粗探し。

ところでみなさん、発砲率という言葉をご存知でしょうか。戦争で敵を前にして兵士が発砲できる確率。「敵を前にして」というところがキーです。ネットで調べた数字では第二次大戦時には15〜20%とのこと。ご存知なかった方は意外に思いませんか?

数字がどこまで正確かは分かりませんが、過半の兵士は撃てないとしていいでしょう。あるいは狙いをつけられない。撃たなければ自分が撃ち殺されるかもしれない状況でもなお、人は人を殺すことを忌避するようです。別角度でみると、人の最後の善意という意味でちょっと救われた気になる数字です。

ちなみに、こんな統計をとるのはアメリカなんですね。その合理性において勝てないです。戦争でもITでもダメな気がする。さらにアメリカはメンタルトレーニングなどでこれを「改善」する努力をしてしまいます。朝鮮戦争、ベトナム戦争で発砲率は飛躍的に向上。がっ、その反動としてせっかく生きて帰還できてもPTSDなどに苦しむ兵士が多くなったとも言われています。

脱線が長すぎたw。戻ってイゼッタなんですが、最初の戦闘でイゼッタは敵を殺すことを躊躇います。いいな。いいな。このリアリティー♪と思っていたのですが、以降、突如として逡巡しなくなるのは変。大好きな姫様への想いにより殺人マシンとなることを決意するイゼッタ。って書くと背中ゾクゾクします。良心との葛藤を描いてほしかった。

例えばゼロ戦のエースパイロットのお話みたいなの。自分が撃墜した戦闘機パイロットの恐怖に歪んだ顔が夢に出るとか。飛行機の残骸を見てゲ〇吐くとかね。

音楽は梶浦由記さんぽく物語の雰囲気にも合っていて大変良かったのですが、問題はキャラデザと作画かなぁ。前者はメインキャラ、男女差、Mobキャラ間のバランスが悪く統一性がなかった。後者は頑張った映像であるが故に目立ってしまった横顔などの作画崩壊。予算など台所事情なんでしょうけど。

ストリー全般としては、そこそこハードで良かったけれど、白き魔女の復活がクローン技術ってw。40年代ではヒックリ返っても無理です。なので、むしろ古き禁断魔法の再現といったファンタジー要素で「リアリティー」を出してほしかった。40年代にエヴァみないなの違和感あり過ぎです。

あとは敵側の大義をもう少し。オットーはヒトラーにならないよう慎重に性格づけされていましたが、単なる悪者じゃなくてーが欲しかった。ベルクマンがいい味だしてましたけどね。諏訪部さんさすがです。姫様はいまひとつ。鳩子で一皮剥けたと思った早見さんですが、少し退化した気がする。

いずれにしても日本人視点での欧州大戦史実とファンタジーを混ぜたなかなかの意欲作。名作とまでは行かないけれどよかったと思います。ああ、タイトルにとった百合要素なんですけどね。ネットでは百合的と騒がれているのですが、私には「普通」に見える。むしろラスト近くの抱擁シーンなんて、もっと思いの丈を述べるとかあってもいい。美々ちゃん化進行中。ということでご近所にて。

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で、思い出したけど。あの核兵器みたいなの。そもそも核兵器って核反応に伴う強力なエネルギーを利用して爆風や熱で周囲を破壊するもの。「物理学」的に考えると同等の威力なら魔法の結晶が魔力欠損wを起こしてエネルギーに変換されないといけないのでは?。という原理なら目標の上空で誘爆しなければならず「飛ばすだけ」の魔法行使じゃ無理な気が。で、誘爆のために魔女が側に寄ると巻き込まれると思われ。蒸発するよ。。。

by cahlan | 2016-12-30 01:43 | Anime

(c)ことみさん:空色マカロン


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